8月16日、フランス・ドーヴィル競馬場で「ジャックルマロワ賞(G1)」が行われる。芝1600mの直線コースを舞台に、欧州各国と日本の一流マイラーが激突する夏のマイル王決定戦だ。今年は日本から安田記念馬シックスペンスと、海外遠征経験豊富なシュトラウスが参戦。1998年のタイキシャトル以来28年ぶりとなる日本調教馬の優勝にも期待がかかる。

ジャックルマロワ賞2026の概要

項目内容
開催日2026年8月16日(日)
競馬場フランス・ドーヴィル
格付けG1
距離芝1600m・直線
条件3歳以上牡馬・牝馬
賞金総額100万ユーロ
1着賞金57万1400ユーロ
発走予定日本時間22時50分
日本馬シックスペンス、シュトラウス

今年は当初34頭が登録していたが、最終的には10頭に絞られた。最大の変化は、欧州マイル路線の中心的存在だったボウエコーが故障により電撃引退し、グスタードも戦線離脱したこと。絶対的な主役候補が相次いで不在となったことで、一気に混戦色が強まった。

出走予定馬とレーティング

馬名性齢調教国Rt.負担重量
モアサンダー牡5英国12059.5kg
ゼウスオリンピオス牡4英国11859.5kg
シックスペンス牡5日本11859.5kg
ライフ牡3フランス11756.5kg
シュトラウス牡5日本11559.5kg
ザシークレットアドヴァーサリー牡3アイルランド11556.5kg
プリサイス牝3アイルランド11555kg
ノーランチ牡5フランス11459.5kg
ドリームライナー牡4フランス11259.5kg
サートミーセン牡4フランス10459.5kg

能力値だけならモアサンダーが最上位だが、3歳馬には斤量面で大きな恩恵がある。特に牝馬プリサイスは55kgで、古馬牡馬より4.5kg軽い。この重量差が今年の大きなポイントとなる。

本命候補はプリサイス

海外の前売り市場で上位評価を受けているのが、エイダン・オブライエン厩舎の3歳牝馬プリサイスだ。

2歳時にモイグレアスタッドSとフィリーズマイルを制し、今年も愛1000ギニー、ロイヤルアスコットのコロネーションSとG1を連勝。すでにG1・4勝の実績を持つ。

直近のファルマスS、ロートシルト賞ではともにブルーボルトの2着だったが、8月2日のロートシルト賞は今回と同じドーヴィル芝1600m。コース適性を証明済みなのは大きい。

古馬牡馬が59.5kgを背負う中で55kgという条件も有利で、安定感ではメンバー随一。ただしロートシルト賞から中1週というローテーションだけに、状態維持が最大の焦点となる。

古馬の大将格モアサンダー

レーティング120でメンバー最上位なのがモアサンダー。今年はロッキンジS、クイーンアンSで連続2着と、欧州古馬マイルG1で安定した能力を見せている。

前走サマーマイルSでは4着に敗れたが、スローペースが合わなかったとの見方が強い。直線の長いドーヴィルで流れが速くなれば、末脚を最大限に生かせる。

G1タイトルこそまだないものの、既存の欧州勢で「能力そのもの」を評価するなら最も怖い一頭だ。

上昇ムードのゼウスオリンピオス

ゼウスオリンピオスも古馬勢の有力候補。ロッキンジS3着、クイーンアンS4着を経て、前走サマーマイルSを勝利した。

カール・バーク調教師は近走を経て馬がさらに成長していると評価しており、夏場に入って馬体にも厚みが増したという。モアサンダーを直接破った前走内容からも、G1初制覇へあと一歩の位置まで来ている。

フランスの期待は仏2000ギニー馬ライフ

地元フランスの中心が3歳馬ライフだ。今年の仏2000ギニーを制してクラシックホースとなった。

その後は体調面の問題でロイヤルアスコット遠征を回避し、ジャンプラ賞では1400mへの距離短縮も響いて5着。ただし陣営はもともと1600mの方が適していると見ており、今回は本来のマイルへ戻る。

昨年のドーヴィル開催でも勝利経験があり、速めの馬場も得意。3歳牡馬の56.5kgという斤量も魅力で、ジャンプラ賞だけを見て評価を落とすのは危険だ。

ザシークレットアドヴァーサリーは距離が鍵

勢いならザシークレットアドヴァーサリーも負けていない。ロイヤルアスコットのジャージーSを制した後、ドーヴィルのジャンプラ賞でG1初制覇。1400m戦では欧州3歳トップクラスの実力を示している。

問題は1600mへの距離延長だ。英・愛2000ギニーでは結果を残せず、陣営も一時は1400mのシティオブヨークSを次走として考えていた。

しかしボウエコーら有力馬の離脱でジャックルマロワ賞へ方向転換。前々で運べるタイプだけに、この馬の出方がレース全体のペースを左右しそうだ。

シックスペンス|安田記念馬がタイキシャトル以来の快挙へ

日本勢の最大の期待はシックスペンス。今年の安田記念を制して待望のG1タイトルを獲得し、そのまま欧州最高峰のマイル戦へ挑む。

ジャックルマロワ賞と日本競馬には特別な歴史がある。1998年、タイキシャトルが安田記念を制した後に渡仏し、このレースを快勝。日本調教馬として歴史的な欧州G1制覇を成し遂げた。

シックスペンスも安田記念→ジャックルマロワ賞という同じルートを歩む。

初の海外遠征は課題だが、8月13日には実際のレースと同じドーヴィルの直線芝1600mで調整。陣営によれば初めての環境でも落ち着いており、現地への適応は順調だ。

鞍上は武豊。武騎手は過去5度ジャックルマロワ賞へ騎乗し、2008年ナタゴラの2着が最高。18年ぶりの参戦で初制覇を狙う。

シュトラウスは直線1600mで一変なるか

もう一頭の日本馬シュトラウスは、能力の振れ幅が非常に大きいタイプだ。

2歳時に東京スポーツ杯2歳Sを制し、今年2月にはUAEのアブダビゴールドカップ芝1600mを快勝。海外の直線的な競馬への適性を見せている。

一方、香港チャンピオンズマイルでは12着。序盤から力んだうえ、直線でもスムーズさを欠いた。最大の課題は現在も折り合いだろう。

ただしドーヴィルはコーナーのない直線1600m。自身のリズムを崩さず走れれば、持っているスピードを発揮しやすい舞台でもある。8月13日の現地追い切りについて武井調教師も高く評価しており、状態面には手応えがある。

鞍上はJ.モレイラ。シュトラウスの能力を引き出した実績があり、人気以上に警戒したい存在だ。

展開の鍵は3歳勢の位置取り

ザシークレットアドヴァーサリーやシュトラウスが前寄りの位置を取れば、10頭立てでも極端なスローペースにはなりにくい。

流れればモアサンダー、ライフ、シックスペンスなど差し脚を持つ馬には好材料。一方、前で楽に運べればプリサイスやザシークレットアドヴァーサリーの斤量差がより大きく効いてくる。

8月14日時点の予報では16日は大きな降雨の可能性が低く、極端な道悪より良馬場寄りでの決戦になる可能性が高い。そうなれば単純なパワー勝負ではなく、マイル戦らしいスピードと瞬発力が問われそうだ。

結論|混戦の欧州マイル王決定戦、日本馬にも十分チャンス

総合力と斤量を考えればプリサイスが中心。能力値ならモアサンダー、上昇度ならゼウスオリンピオス、3歳牡馬ではライフとザシークレットアドヴァーサリーが続く。

しかし今年はボウエコーやグスタードという大物が不在で、例年以上に絶対的な存在がいない。

その意味でシックスペンスにも十分に勝機がある。安田記念で見せたパフォーマンスを欧州の芝でも再現できれば、タイキシャトル以来となる日本馬のジャックルマロワ賞制覇が現実味を帯びる。

シュトラウスも折り合いさえつけば怖い伏兵だ。

欧州のクラシック世代、日本の安田記念馬、英国の古馬トップマイラーが世代と国境を越えてぶつかる2026年ジャックルマロワ賞。絶対王者不在だからこそ、日本馬2頭にとっても歴史を変える大きなチャンスとなりそうだ。

 

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