世界各国で行われる競馬のG1競走。その価値は歴史やレベルだけでなく賞金額にも表れている。近年は中東やオーストラリアを中心に高額賞金競走が増え、1着賞金だけで10億円を超えるレースも珍しくなくなった。一方、日本のジャパンカップや有馬記念も1着5億円まで上昇しており、世界的に見てもかなり高い水準にある。

今回は2026年の公式発表を基に、海外主要G1の優勝賞金を日本円へ換算し、日本の代表的なG1と比較する。円換算は2026年9月14日時点のおおよその為替レート、1米ドル=約154.6円、1ユーロ=約178.4円、1英ポンド=約208.5円、1豪ドル=約110.2円を使用した。為替変動によって日本円換算額は変化するため、あくまで目安として見てほしい。

海外主要G1の優勝賞金ランキング

競走国・地域1着賞金日本円換算
サウジカップサウジアラビア1,000万米ドル約15億4,600万円
ドバイワールドカップUAE696万米ドル約10億7,600万円
ジ・エベレストオーストラリア700万豪ドル約7億7,200万円
ブリーダーズカップクラシックアメリカ364万米ドル約5億6,300万円
凱旋門賞フランス285万7,000ユーロ約5億1,000万円
メルボルンカップオーストラリア450万豪ドル約4億9,600万円
ケンタッキーダービーアメリカ310万米ドル約4億7,900万円
キングジョージ6世&クイーンエリザベスSイギリス113万4,200ポンド約2億3,600万円
アイリッシュチャンピオンSアイルランド72万5,000ユーロ約1億2,900万円

※ブリーダーズカップクラシックは2026年総賞金700万ドル。1着364万ドルは現行の賞金配分を使用。メルボルンカップは現金の1着賞金450万豪ドルで比較し、別途トロフィーなどが用意される。

世界最高クラスはサウジカップの約15億円

現在、優勝賞金だけで圧倒的なのがサウジカップだ。2026年も総賞金2,000万米ドル、1着賞金1,000万米ドルで行われ、日本円では約15億4,600万円。日本の最高額であるジャパンカップ、有馬記念の5億円と比べても約3倍に達する。

2026年はフォーエバーヤングが優勝して1,000万ドルを獲得。前年に続く連覇を達成しており、日本調教馬が世界最高峰の賞金を2年連続で獲得したことになる。

これに続くのがドバイワールドカップ。総賞金1,200万米ドル、1着賞金696万米ドルで、日本円では約10億7,600万円。今年はマグニチュードが優勝し、フォーエバーヤングが2着だった。サウジカップとドバイワールドカップは、ともにダートの国際G1であり、中東の豊富な賞金規模が際立っている。

芝ではジ・エベレストが突出

芝競走で非常に高額なのがオーストラリアのジ・エベレスト。総賞金2,000万豪ドル、1着賞金700万豪ドルで、日本円では約7億7,200万円となる。

1200メートルのスプリント戦ながら世界で最も賞金の高い芝競走として知られ、香港のカーインライジングも2025年に制覇した。出走枠を「スロット」として販売し、スロット保有者が出走馬陣営と契約する独自方式も、高額賞金を実現している理由の一つだ。

欧州最高峰の凱旋門賞は総賞金500万ユーロ、1着285万7,000ユーロ。現在の為替なら約5億1,000万円となり、実はジャパンカップや有馬記念の5億円とほぼ同水準である。

凱旋門賞という世界最高峰のブランドを考えると意外に感じるかもしれないが、欧州競馬は必ずしも「格式の高さ=世界最高賞金」ではない。

日本の主要G1はいくら?

2026年のJRA主要G1の1着本賞金は以下の通り。

競走1着本賞金
ジャパンカップ5億円
有馬記念5億円
日本ダービー3億円
天皇賞・春3億円
天皇賞・秋3億円
宝塚記念3億円
皐月賞2億円
安田記念1億8,000万円

日本ではジャパンカップと有馬記念の5億円が最高額。この数字はサウジカップやドバイワールドカップには大きく及ばないものの、世界全体で見れば非常に高い。

現在の為替で比較すると、凱旋門賞が約5億1,000万円、ジャパンカップと有馬記念が5億円、メルボルンカップの現金1着賞金が約4億9,600万円、ケンタッキーダービーが約4億7,900万円。つまり日本の2大競走は、世界を代表する芝・ダートG1と比較してもトップクラスの優勝賞金を設定していることになる。

日本ダービーの3億円も世界的にはかなり高額

日本ダービーは1着3億円。米国三冠初戦のケンタッキーダービーは310万米ドルで約4億7,900万円なので米国の方が高いものの、英国のキングジョージは約2億3,600万円。日本ダービーだけでなく、天皇賞・春、天皇賞・秋、宝塚記念の3億円も欧州の伝統的な大レースを上回るケースがある。

キングジョージは欧州の2400メートル路線を代表する歴史的G1で、2026年は総賞金200万ポンド、カルパナが1着賞金113万4,200ポンドを獲得した。それでも日本円換算では約2億3,600万円で、JRAの天皇賞や宝塚記念より低い。

アイリッシュチャンピオンステークスも欧州中距離路線を代表するG1だが、1着72万5,000ユーロ、約1億2,900万円。日本の安田記念1億8,000万円よりも低い水準となる。

世界の賞金事情を見ると日本競馬の高さが分かる

優勝賞金だけを比較すると、世界には大きく3つのグループがある。

最上位に位置するのが、中東のサウジカップ、ドバイワールドカップ。1着10億円を超える別格の賞金規模となっている。その次にジ・エベレストやブリーダーズカップクラシックが続き、5~8億円前後。そして凱旋門賞、ジャパンカップ、有馬記念、メルボルンカップ、ケンタッキーダービーが5億円前後で並ぶ。

特に注目したいのは、日本のジャパンカップと有馬記念だ。サウジやドバイの超高額競走を除けば、世界最高クラスの優勝賞金となっており、芝競走だけを見ればジ・エベレストに次ぐグループに位置する。

またJRAでは2026年、天皇賞や宝塚記念など主要古馬G1の1着本賞金が3億円という高水準になっている。日本競馬は売上規模が非常に大きく、その収益を背景に幅広いG1で高額な賞金を設定できる点が特徴だ。

もちろん競走の価値は賞金だけでは決まらない。凱旋門賞、キングジョージ、ケンタッキーダービーなどは、歴史や種牡馬価値、繁殖価値まで含めれば賞金額以上の意味を持つ。それでも数字だけを比較すると、現在の日本競馬が世界でも非常に賞金水準の高い市場であることは間違いない。

サウジカップの約15億円という突出した存在を頂点に、ジ・エベレスト、ブリーダーズカップクラシック、凱旋門賞、そしてジャパンカップ・有馬記念。世界の主要競走を賞金という視点から並べてみると、それぞれの国の競馬産業の規模やレース運営の考え方の違いも見えてくる。

 

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