2026年のアメリカ・ダート戦線は、春までの混戦から夏を境に急速に輪郭がはっきりしてきた。8月24日時点で中心にいるのは、前年の米年度代表馬ソヴリンティ(Sovereignty)と、パシフィッククラシックを圧勝したナイツブリッジ(Knightsbridge)。一方で3歳路線にはケンタッキーダービー、ベルモントSを制した二冠馬が存在し、牝馬、短距離にも強力なチャンピオン候補が揃う。秋のブリーダーズカップへ向け、現在の勢力図をカテゴリー別に整理したい。

現在の主な有力馬

カテゴリー有力馬2026年の主な実績
古馬中距離ソヴリンティホイットニーS1着
古馬中距離ナイツブリッジパシフィッククラシック1着、メトロポリタンH2着
古馬中距離マグニチュード(Magnitude)ドバイワールドC、スティーブンフォスターS1着
牝馬ナイトロジェン(Nitrogen)オグデンフィップスS1着、ホイットニーS2着
3歳牡馬ゴールデンテンポ(Golden Tempo)ケンタッキーダービー、ベルモントS1着
3歳牡馬レネゲード(Renegade)ジムダンディS1着、ケンタッキーダービー2着
3歳牡馬シーストライク(Sea Strike)カーリンS1着
短距離ブックエムダノ(Book’em Danno)トゥルーノースSなど
3歳牝馬マイガンズローデッド(My Gun’s Loaded)アラバマS1着

古馬中距離はソヴリンティが再び頂点へ

春までの古馬戦線はマグニチュードが主役だった。ドバイワールドCを制し、帰国後のスティーブンフォスターSも勝利。2026年3戦3勝でNTRAランキング首位に立ち、「今年のアメリカ最強馬」という評価を固めつつあった。

しかし8月8日のホイットニーSで勢力図が変わった。前年にケンタッキーダービー、ベルモントS、トラヴァーズSを制して年度代表馬となったソヴリンティが、最後方から豪快に進出して4馬身3/4差の完勝。1800mを1分47秒91、Beyer Speed Figureは112を記録した。2着にはナイトロジェンが入り、マグニチュードは6着。ソヴリンティは春のオークローンH2着、スティーブンフォスターS3着から完全復活を示し、現在の北米ダート中距離路線では明確な一番手と考えていい。

急上昇したナイツブリッジ、二強形成も

8月22日のパシフィッククラシックで一気に評価を上げたのがナイツブリッジだ。今年はフレッドW.フーパーS、ガルフストリームパークマイルを連勝し、メトロポリタンHではナイソス(Nysos)の2着。続くモンマスCでは10馬身1/4差の圧勝で122という驚異的なBeyerをマークした。

初の2000mとなったパシフィッククラシックでも不安を一掃し、11頭を相手に6馬身1/4差で圧勝。マイル級のスピードだけでなく、BCクラシックと同じ2000mをこなせることを証明した意味は大きい。しかもソヴリンティと同じゴドルフィン所有、ビル・モット厩舎。現状では「ソヴリンティ対ナイツブリッジ」が秋の最大カードになりつつある。

マグニチュードは一戦だけで見限れない

ホイットニーで6着に敗れたマグニチュードも評価を大きく落とす必要はない。ドバイワールドC、スティーブンフォスターSという中距離G1を連勝した実績は今年の米国勢でもトップクラス。ホイットニーでは本来の先行策を取れず、前に行ったナイトロジェンとの兼ね合いでリズムを崩した面もあった。自分の形で先行できれば、BCクラシックでも巻き返す余地はある。

一方、春にソヴリンティを破ったホワイトアバリオ(White Abarrio)はホイットニー最下位。レース後には今後について協議される状況となっており、現在の中心グループからは一歩後退した。

牝馬最強はナイトロジェン

牝馬路線ではナイトロジェンの存在感が際立つ。2025年の米最優秀3歳牝馬で、今年のオグデンフィップスSでは12馬身3/4差という衝撃的な圧勝。Beyer113を記録すると、あえて牡馬一線級が集まったホイットニーへ挑戦した。

スタートで躓き、前半から速い流れを作る厳しい競馬になりながらソヴリンティの2着を確保。マグニチュードら有力牡馬を先着した内容から、牝馬限定なら文句なしの最上位だろう。次走は9月12日のローカストグローヴSが予定され、最終目標はBCディスタフ。現状ではディスタフの主役と見てよさそうだ。

3歳牝馬はアコーンS、CCAオークスを連勝したカウンティングスターズ(Counting Stars)が先行していたが、8月22日のアラバマSで3着に敗戦。そこを勝ったマイガンズローデッドが急浮上し、秋へ向けて勢力図が再び拮抗している。

3歳はゴールデンテンポ中心、トラヴァーズが決定戦

3歳牡馬はゴールデンテンポが一歩リードしている。ケンタッキーダービーでレネゲードをクビ差で下し、ベルモントSも制して二冠達成。8月29日のトラヴァーズSへ直行し、ここで世代王者の座を決定的にすることを狙う。

対抗はジムダンディSを勝ったレネゲード。さらにキャリア3戦目のカーリンSを8馬身1/4差で圧勝したシーストライクは、現在もっとも怖い上がり馬だ。プリークネスS覇者ナポレオンソロ(Napoleon Solo)、ハスケルSを28倍の伏兵評価で制したベイビーヴィーノ(Baby Vino)も加わり、トラヴァーズは実質的な3歳王者決定戦となる。

短距離はブックエムダノが王座を守れるか

短距離では2025年の米最優秀短距離馬ブックエムダノが中心。今年もトゥルーノースSを制し、モンマスのミスタープロスペクターSも勝利した。8月29日のフォアゴーSからBCスプリントへ向かう予定で、現役スプリント王者として秋を迎える。

一方、メトロポリタンHを圧勝したナイソスは8月に現役引退。2025年プリークネスS覇者ジャーナリズム(Journalism)も7月のサンディエゴH勝利後に故障が判明し引退した。春まで「最強候補」と考えられていた2頭が相次いで戦線を離脱したことで、秋のダート路線は大きく再編された。

BCクラシックはゴドルフィン勢対3歳勢、そして日本馬へ

現時点の米国ダート中距離を序列化するなら、ソヴリンティが第一位、急上昇のナイツブリッジが肉薄し、マグニチュードが巻き返しを狙うという形だろう。そこへトラヴァーズを勝った3歳馬が加わる。

さらにBCクラシックでは前年覇者フォーエバーヤングをはじめ海外勢も待ち構える。ソヴリンティが前年の年度代表馬として王座を守るのか、ナイツブリッジが遅れてきた大物として頂点まで駆け上がるのか、それとも3歳世代が一気に古馬を飲み込むのか。2026年の米国ダート戦線は、夏を終えてようやく本当の「最強馬決定戦」へ向かい始めている。

 

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