「期待値」という言葉は、公営競技、パチンコ、パチスロ、投資、ゲーム、くじ引きなど、さまざまな場面で使われます。

ただし、期待値という言葉は少し誤解されやすい言葉です。 「期待値が高い=必ず勝てる」という意味ではありません。

期待値とは、簡単に言うと確率を考慮した平均的な結果のことです。

もっとくだけて言えば、同じ条件で何度も繰り返したとき、平均するとどれくらい得をするか、または損をするかを表す数字です。

高校数学で習う期待値の基本

高校数学では、期待値は次のように考えます。

期待値 = 起こりうる値 × その確率 をすべて足したもの

式で書くと、次のようになります。

期待値 = x1×p1 + x2×p2 + x3×p3 + ……

ここで、

  • x:その結果になったときの金額や点数
  • p:その結果が起こる確率

です。

サイコロで考える期待値

まずは、サイコロを例に考えてみます。

1個のサイコロを振ると、出る目は1、2、3、4、5、6のどれかです。 それぞれの確率は6分の1です。

出る目確率
11/6
21/6
31/6
41/6
51/6
61/6

このとき、サイコロの出目の期待値は次のようになります。

1×1/6 + 2×1/6 + 3×1/6 + 4×1/6 + 5×1/6 + 6×1/6

計算すると、

期待値 = 3.5

となります。

ここで大事なのは、サイコロを1回振って3.5という目は絶対に出ないということです。

それでも、何千回、何万回とサイコロを振ると、平均はだんだん3.5に近づいていきます。 これが期待値の基本的な考え方です。

期待値は「未来予知」ではなく「平均の目安」

期待値は、次の1回の結果を当てるためのものではありません。

期待値は、同じ条件で何度も繰り返した場合に、平均するとどうなるかを見るためのものです。

たとえば、期待値がプラスの勝負でも、1回だけなら普通に負けることがあります。 逆に、期待値がマイナスの勝負でも、1回だけなら勝つことがあります。

つまり、期待値を見るときは、短期ではなく長期的な平均として考えることが大切です。

お金で考える期待値の例

次に、お金の例で考えてみます。

次のようなゲームがあるとします。

  • 参加費:100円
  • 50%の確率で300円もらえる
  • 50%の確率で何ももらえない

この場合、300円もらえたときの利益は、参加費100円を引いて+200円です。 何ももらえなかったときは、参加費100円を失うので-100円です。

結果利益確率
当たり+200円50%
はずれ-100円50%

期待値は次のように計算します。

+200円 × 50% + -100円 × 50%

つまり、

100円 - 50円 = +50円

このゲームの期待値は+50円です。

これは、1回やるごとに必ず50円勝てるという意味ではありません。 長く何度も繰り返すと、平均して1回あたり50円くらいプラスになりやすい、という意味です。

期待値がプラス・マイナスとはどういう意味か

期待値は、プラス・ゼロ・マイナスの3つに分けて考えるとわかりやすいです。

期待値意味
プラス長期的には得をしやすい
ゼロ長期的にはトントンに近い
マイナス長期的には損をしやすい

ギャンブルや遊技で「期待値がある」「期待値が高い」と言う場合、多くは長期的に見てプラスになりやすい条件を指します。

公営競技で考える期待値

公営競技では、競馬、競輪、ボートレース、オートレースなどで投票券を購入します。

公営競技のオッズは、単純に「主催者がこの倍率に決めた」というより、投票された金額や的中者の分布によって決まる仕組みです。 そのため、締切前に見たオッズと、確定後のオッズが変わることもあります。

公営競技で期待値を考えるときは、次の2つが重要です。

  • 自分が考える的中確率
  • 実際のオッズ

公営競技の期待値の基本式

100円を投票する場合、期待値はざっくり次のように考えられます。

期待値 = 的中確率 × 払戻金 - 投票金額

たとえば、100円を投票して、オッズが3.0倍だったとします。 的中すれば300円の払戻です。

このとき、自分の分析で「この投票券は40%くらい当たりそう」と考えた場合、

期待値 = 40% × 300円 - 100円

となります。

計算すると、

120円 - 100円 = +20円

つまり、この条件なら期待値は+20円です。

これは、100円買うたびに必ず20円儲かるという意味ではありません。 あくまで、的中確率40%という見立てが正しければ、長期的には平均して1回あたり20円プラスになりやすい、という意味です。

同じ3.0倍でも、的中確率が低ければマイナスになる

同じくオッズ3.0倍の投票券でも、自分の見立てでは25%しか当たらないとします。

この場合、

期待値 = 25% × 300円 - 100円

となります。

計算すると、

75円 - 100円 = -25円

この場合は、期待値が-25円です。

つまり、オッズが同じでも、実際に当たる確率をどう見るかによって、期待値はプラスにもマイナスにもなります。

公営競技では「オッズが高い=期待値が高い」ではない

初心者が間違えやすいのが、高配当=期待値が高いと考えてしまうことです。

たとえば、100倍の投票券があったとしても、実際の的中確率が0.1%しかないなら、期待値は高いとは言えません。

100円投票、オッズ100倍、的中確率0.1%の場合、

期待値 = 0.1% × 10,000円 - 100円

10円 - 100円 = -90円

となります。

一方で、オッズ2.0倍でも、自分の見立てで60%当たるなら、

期待値 = 60% × 200円 - 100円

120円 - 100円 = +20円

となります。

つまり、公営競技で大事なのは、倍率の高さそのものではなく、その倍率に対して当たりやすさが見合っているかです。

パチンコで考える期待値

パチンコの期待値は、公営競技とは少し考え方が違います。

公営競技では「どの投票券を買うか」が中心ですが、パチンコでは主に次のような要素が期待値に影響します。

  • 1,000円あたり何回転するか
  • 大当たり確率
  • 大当たり時の平均出玉
  • 確変・ST・時短などを含めた連チャン性能
  • 出玉の削り
  • 交換率
  • 持ち玉で打てるか、現金投資になるか

パチンコでよく使われる考え方にボーダーがあります。

ボーダーとは、簡単に言うと長期的に見て損益がトントンになりやすい回転数の目安です。

パチンコの期待値の簡単な例

説明用に、かなり単純化した例を出します。

  • 1,000円で250玉借りる
  • 1回転あたりの平均的な払い戻し価値を12.5玉と仮定する
  • 1,000円で20回転なら、20回転 × 12.5玉 = 250玉

この場合、1,000円で20回転する台は、理論上はトントンに近いと考えられます。

では、1,000円で22回転する台ならどうでしょうか。

22回転 × 12.5玉 = 275玉

250玉を使って、平均的には275玉分の価値があると考えられるため、

275玉 - 250玉 = +25玉

この例では、1,000円あたり+25玉分の期待値があると考えられます。

逆に、1,000円で18回転しかしない場合は、

18回転 × 12.5玉 = 225玉

となり、

225玉 - 250玉 = -25玉

この例では、1,000円あたり-25玉分の期待値になります。

パチンコの期待値は「よく回る台」だけでは決まらない

パチンコでは、回転数が重要なのは確かです。 しかし、期待値は回転数だけで決まるわけではありません。

たとえば、同じ回転数でも、

  • 大当たり中の出玉が削られる
  • 電サポ中に玉が減る
  • 交換率が低い
  • 現金投資が多くなる
  • 閉店時間が近くて取り切れない可能性がある

といった条件があると、期待値は下がります。

そのため、パチンコの期待値は、回転数・出玉・交換率・時間をまとめて考える必要があります。

パチスロで考える期待値

パチスロでは、期待値を考えるときに機械割という言葉がよく使われます。

機械割とは、簡単に言うと投入したメダルに対して、平均してどれくらいメダルが返ってくるかを表す割合です。

機械割意味
98%投入したメダルの98%が平均的に返ってくるイメージ
100%理論上はトントンに近いイメージ
103%投入したメダルに対して3%分プラスになりやすいイメージ
110%投入したメダルに対して10%分プラスになりやすいイメージ

パチスロの期待値の計算例

次の条件で考えてみます。

  • 1ゲームあたり3枚投入
  • 8,000ゲーム回す
  • 合計投入枚数:24,000枚
  • 20円スロット、等価交換として考える

このとき、機械割98%なら、

24,000枚 × 98% = 23,520枚

差枚は、

23,520枚 - 24,000枚 = -480枚

20円スロットなら、480枚は約9,600円です。 つまり、機械割98%で8,000ゲーム回すと、理論上は約9,600円マイナスになります。

一方、機械割103%なら、

24,000枚 × 103% = 24,720枚

差枚は、

24,720枚 - 24,000枚 = +720枚

20円スロットなら、720枚は約14,400円です。 つまり、機械割103%で8,000ゲーム回すと、理論上は約14,400円プラスになります。

パチスロの期待値は設定だけではない

パチスロでは、設定が期待値に大きく影響します。 しかし、実際には設定だけでなく、次のような要素も期待値に関係します。

  • 天井までの残りゲーム数
  • ゾーン狙い
  • 有利区間やモードの状況
  • 技術介入の成功率
  • 小役の取りこぼし
  • 交換率
  • 閉店時間

たとえば、同じ機種でも、天井まで残り900ゲームの台と、残り100ゲームの台では期待値が大きく変わります。

また、技術介入が必要な機種では、成功率が高い人と低い人で期待値が変わることもあります。

期待値が高くても負けることはある

期待値を理解するときに、必ず押さえておきたいのが分散です。

分散とは、結果のブレ幅のことです。

期待値がプラスでも、短期的には大きく負けることがあります。 反対に、期待値がマイナスでも、短期的には大きく勝つことがあります。

たとえば、期待値がプラス20円の投票券を100円買ったとしても、その1回が外れれば結果は-100円です。

パチスロで機械割103%の台を打っても、1日単位では普通に負けることがあります。 パチンコでボーダーを超える台を打っても、初当たりが重ければ負けることがあります。

期待値は、あくまで長期的に見た平均の考え方です。 短期の結果とはズレることがある、という点を忘れてはいけません。

期待値を考えるメリット

期待値を理解すると、ギャンブルや遊技を感情ではなく数字で見やすくなります。

  • なんとなく当たりそう、ではなく数字で考えられる
  • 高配当だけに飛びつきにくくなる
  • 負けを取り返そうとする無理な判断を避けやすくなる
  • 長期的に不利な勝負を避けやすくなる
  • 短期の勝ち負けに振り回されにくくなる

特に、公営競技・パチンコ・パチスロでは、1回ごとの結果に一喜一憂しやすいものです。

しかし、期待値の考え方を知っていると、その勝負は本当に有利なのかを冷静に考えやすくなります。

期待値を考えるときの注意点

期待値を使うときには、いくつか注意点があります。

1. 確率の見積もりが間違っていれば期待値も間違う

公営競技では、自分が考える的中確率が重要です。 しかし、その見立てが間違っていれば、期待値の計算もズレます。

「自分では40%当たると思っていたが、実際には25%程度だった」という場合、プラス期待値だと思っていたものが、実はマイナス期待値だったということもあります。

2. 手数料・控除・交換率を無視しない

期待値を考えるときは、表面上の配当や出玉だけでなく、控除、交換率、手数料、削りなども考える必要があります。

パチンコ・パチスロでは、等価交換かどうかによって期待値が変わります。 公営競技でも、払戻の仕組みやオッズの変動を理解しておくことが大切です。

3. 短期結果で判断しない

期待値がプラスでも、短期で負けることは普通にあります。 期待値がマイナスでも、短期で勝つことはあります。

1日、1レース、1回の大当たりだけで「この考え方は正しい」「間違っている」と決めつけるのは危険です。

4. 資金管理を無視しない

どれだけ期待値がある勝負でも、資金が尽きてしまえば続けることはできません。

期待値と同じくらい、資金管理も大切です。

  • 使う金額を事前に決める
  • 生活費に手を出さない
  • 負けを取り返そうとして金額を増やさない
  • 熱くなったら一度やめる

期待値は便利な考え方ですが、無理な勝負を正当化するための言葉ではありません。

まとめ:期待値とは「長期平均で有利か不利か」を見る考え方

期待値とは、確率を考慮した平均的な結果です。

1回ごとの結果を当てるものではなく、同じ条件で何度も繰り返したときに、平均してどれくらい得をするか、または損をするかを見るための考え方です。

公営競技では、オッズと的中確率のバランスが重要です。 高配当だから期待値が高いわけではなく、そのオッズに対して当たりやすさが見合っているかが大切です。

パチンコでは、回転数、出玉、交換率、削り、時間などが期待値に影響します。 単に「よく回る」だけでなく、総合的に見る必要があります。

パチスロでは、機械割、設定、天井までのゲーム数、技術介入、交換率、閉店時間などが期待値に関係します。

期待値を理解すると、ギャンブルや遊技を感情ではなく数字で見やすくなります。 ただし、期待値がプラスでも短期的に負けることはあり、期待値がマイナスでも短期的に勝つことはあります。

大切なのは、期待値を「必勝法」としてではなく、長期的に有利か不利かを判断するための道具として使うことです。

免責事項

本記事は、期待値の考え方をわかりやすく説明するための一般的な解説です。 記事内の公営競技・パチンコ・パチスロの計算例は、理解を助けるための仮定に基づくものであり、実際の収支や結果を保証するものではありません。 公営競技や遊技は、各サービス・店舗・法令・年齢制限・利用規約を守り、無理のない範囲で楽しんでください。

 

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