9月12日、英国ドンカスター競馬場でセントレジャーステークス(G1、芝1マイル6ハロン115ヤード=約2920メートル)が行われる。1776年に創設された世界最古のクラシックで、2026年は創設250周年という節目の開催。総賞金は70万ポンドとなっている。9月9日時点で残っている登録馬はアクション、アルダーマン、クリスマスデー、エンケラドゥス、ガリヤン、ゴールデンストーリー、ハティーン、ハイウェイマン、ピアッツァサンマルコ、ピエールボナール、レベルロッカー、牝馬アメリアイアハートの12頭。最大の焦点は英ダービー馬クリスマスデーが約2920メートルへの距離延長を克服し、クラシック二冠を達成できるかだ。

ダービー馬クリスマスデーが中心

実績最上位はエイダン・オブライエン厩舎のクリスマスデー。今年6月の英ダービーを制した後、愛ダービーではベンヴェヌートチェッリーニの2着。前走グレートヴォルティジュールSでは1番人気に支持されたが、マルティーズクロス、ピエールボナールに続く3着だった。

ヨークでは早めに先頭へ立ったものの、最後は伸び切れず、勝ったマルティーズクロスから4馬身1/4差。ただし同馬はその後セントレジャーではなく凱旋門賞路線を選択しており、今回のメンバーなら依然として能力上位なのは明らかだ。父キャメロットは2012年に英2000ギニー、英ダービーを制し、三冠を懸けてセントレジャーへ挑んだ馬。クリスマスデー自身も2400メートルで高いスタミナを示しており、さらに約500メートル延びる距離への対応が最大のポイントとなる。

また英ダービーを勝ったエプソムはソフト馬場。ドンカスターでは直近10日間に約45ミリの雨が降っており、馬場担当者は週末に「Good~Good to Soft」の範囲を想定している。多少時計がかかれば、この馬にはプラスだろう。勝てば1987年のリファレンスポイント以来となる英ダービー、セントレジャー連勝となる。

急上昇エンケラドゥスが最大のライバル

勢いではジョセフ・オブライエン厩舎のエンケラドゥスが一番だ。今年は3戦3勝。復帰戦を勝った後、ロイヤルアスコットのキングジョージ5世Sを制し、続くグッドウッドのゴードンSでは重賞初挑戦ながら1馬身1/4差で快勝した。

2400メートルへ距離を延ばしてから内容が大きく良化しており、最後まで長く脚を使える点はセントレジャー向き。まだG1経験こそないが、今年に入ってレーティングを大幅に上げている上がり馬で、未知の魅力ではクリスマスデー以上とも言える。ジョセフ・オブライエン師も「距離をこなせる可能性は高い」と見ており、ビリー・ロックネイン騎手との新コンビで父エイダン率いるバリードイル勢へ挑む。

ピエールボナールは前哨戦2着から逆転へ

3番手候補がピエールボナール。前走グレートヴォルティジュールSでは後方から進出し、一度は先頭に立つ内容で2着。クリスマスデーには2馬身1/4先着した。勝ったマルティーズクロスには最後の決め手で及ばなかったが、2400メートルで最後まで脚を残した内容はセントレジャーへ向けて好材料だ。

父キャメロット、母父ニューアプローチという血統からも距離延長には対応できそうで、クリスマスデーより折り合いをつけやすい点も魅力。純粋なスタミナ勝負になれば逆転まで考えられる。

ハイウェイマン、ハティーンも上昇中

伏兵で面白いのがハイウェイマン。ジョセフ・オブライエン厩舎のもう一頭で、距離を延ばしてから成績が一変した。前走レパーズタウンのヴィニーローSでは中長距離適性を示して快勝。G1級との比較では未知数だが、約2900メートルでスタミナが要求されれば浮上する可能性がある。

ハティーンもドンカスター適性が魅力。今年7月に同競馬場の「セントレジャー・トライアル」を4馬身1/4差で快勝し、前走グッドウッドの2400メートル戦でも頭差2着。アンドリュー・ボールディング師は距離延長を課題に挙げながらも、成長力を高く評価している。コース経験を生かせれば穴候補となる。

同厩のガリヤンはバーレーントロフィーで好走した後、グレートヴォルティジュールSでは5着。陣営は前走を度外視し、スタミナ面には不安がないとみている。アルダーマンも英ダービー5着の実績があり、前走バーレーントロフィーは硬い馬場が合わなかった。休養を挟み、当初から目標としてきたセントレジャーで巻き返しを狙う。

オブライエン勢は5頭登録

エイダン・オブライエン厩舎はクリスマスデー、ピエールボナールに加え、アクション、ピアッツァサンマルコ、アメリアイアハートの計5頭を登録。自身10度目のセントレジャー制覇を目指す。特に唯一の牝馬アメリアイアハートは牡馬より3ポンド軽い斤量で出走できるのが利点。ゴールデンストーリー、レベルロッカーも残っており、最終的な出走馬と騎手の組み合わせには注意したい。

展開予想と結論

約2920メートルという距離だけに、序盤は無理をせず折り合いを重視する展開になりやすい。一方、最後の直線が長いドンカスターでは単純な瞬発力以上に、残り800メートル付近から長く脚を使える持続力が重要になる。

現時点ではクリスマスデーを本命候補とする。英ダービー馬としての地力は一枚上で、馬場が多少軟らかくなればさらに有利。ただし距離適性という一点ではエンケラドゥスとの差は小さく、急成長中の同馬が逆転する可能性も十分ある。3番手は前哨戦でクリスマスデーに先着したピエールボナール。続いてハイウェイマン、ハティーンを警戒したい。英ダービー馬の復権か、それとも新たなステイヤーの誕生か。創設250周年を迎える世界最古のクラシックにふさわしい一戦となりそうだ。

 

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