【2026年南米競馬勢力図】大陸最強テアオを筆頭にアルゼンチン・ブラジル・チリなど各国の現在地を整理

日本や欧米から見ると一括りにされやすい「南米競馬」だが、実際には国によって競馬の性格がかなり異なる。芝・ダート双方に強力な層を抱えるアルゼンチン、芝の大レースを中心とするブラジル、近年国際戦で存在感を増すチリ、規模は小さくても強豪を送り出すウルグアイ、独自のダート路線を持つペルーやベネズエラ――。2026年8月現在、大陸全体で最も高く評価されている現役馬はチリのテアオ(Teao)だが、「最も層が厚い国」と「最強馬を抱える国」は必ずしも一致しない。現在の南米競馬を各国別に整理した。
目次
Toggle2026年南米競馬の大まかな勢力図
| 国 | 現在の中心馬 | 特徴 |
|---|---|---|
| アルゼンチン | ニードユートゥナイト、ニートコルト | 芝・ダートとも層が厚い南米の中心国 |
| ブラジル | ズッカベイビー、エレトリザンテダラー | 芝中長距離と短距離に強豪 |
| チリ | テアオ | 現在の「大陸最強馬」を抱える |
| ウルグアイ | ガリコヴィク、ネイティブエクストリーム | 国際戦で存在感を増す |
| ペルー | ベルモントコレクション | 国内ダート路線のレベルが高い |
| ベネズエラ | プレポジション | 独自のダート競馬圏を形成 |
アルゼンチン――絶対王者不在でも層の厚さは南米随一
南米競馬の基準点となるのは、現在もアルゼンチンだ。2026年は一頭の絶対王者がいるというより、芝・ダート、マイルから2400mまで複数の有力馬が存在する。
ダートではニードユートゥナイト(Need You Tonight)が中心。2025年のエストレージャス・クラシックを制し、今年5月のレプブリカ・アルヘンティーナ大賞も勝利。地域レーティング116はアルゼンチン調教馬の最上位クラスで、芝でも上位争いが可能な総合力を持つ。
芝ではニートコルト(Neat Colt)が6月のエストレージャス・クラシックを制して急浮上。さらに2400mでは5月25日大賞を勝ったマグナムフィフス(Magnum Fifth)が115の高評価を得ている。前年カルロスペレグリーニ大賞2着のザグラディエーターズハット(The Gladiator’s Hat)も健在で、4月のラティーノアメリカーノでは3着に入った。
現在のアルゼンチンには大陸全体を圧倒する一頭こそいないが、G1級の選択肢が最も多い。「国としての総合力」なら依然として南米トップクラスと考えていい。
ブラジル――芝路線は南米最高級、スプリントにも強力な王者
ブラジルの中心は、6月のブラジル大賞を制したズッカベイビー(Zucca Baby)。2400mの大一番でオデリッチ(Oderich)らを退け、地域レーティング115を獲得した。ブラジルダービーに相当するクルゼイロ・ド・スル大賞でも2着しており、中長距離の安定感は高い。
短距離ではエレトリザンテダラー(Eletrizante Dollar)が明確なエース。1000mのABCPCC大賞から6月のメジャースッコウ大賞まで制し、こちらも115。南米は中長距離馬が注目されやすいが、ブラジルには国際的にも興味深いスピード馬が存在する。
前年のカルロスペレグリーニ大賞を制したオバタイエ(Obataye)もブラジル競馬を代表する実力馬。現在のブラジルは「一頭の超大物」よりも、芝1000~2400mの各距離に強豪が揃っている点が特徴で、アルゼンチンと並び大陸で最も選手層の厚い国と言える。
チリ――テアオの登場で「南米最強馬の国」に
2026年に最も評価を上げた国はチリだ。その象徴がテアオ。2月のエルダービーを制すると、4月にペルー・モンテリーコ競馬場で行われた南米最大級の国際競走ラティーノアメリカーノへ遠征。ウルグアイ代表ガリコヴィク、アルゼンチンのザグラディエーターズハットらを退けて優勝した。
このパフォーマンスに対する地域レーティングは121。2025年7月から2026年6月までの南米馬では単独トップで、現時点では文字通り「南米最強馬」に最も近い存在である。
層もテアオだけではない。アポロレイ(Apolo Rey)はチリ三冠最終戦のセントレジャーを勝利。メジュール(Medjool)、エキセントリック(Eccentric)、ダート2200mのヒポドロモチリ大賞を制したシャーク(Shark)なども上位に位置する。
総合的な層ではアルゼンチン、ブラジルに分があるものの、トップホース同士の比較なら現在はチリが最も強い。テアオが今後南米外へ遠征するようなら、その実力が世界基準でどこまで通用するのか非常に興味深い。
ウルグアイ――小国ながらラティーノアメリカーノ2着
ウルグアイは競走規模ではアルゼンチンやブラジルに及ばないが、国際戦では侮れない。代表格はブラジル産でウルグアイ調教のガリコヴィク(Galikovic)。国内で連勝を重ねてラティーノアメリカーノに挑み、テアオから2馬身半差の2着に入った。
1月のホセ・ペドロ・ラミレス大賞を制したネイティブエクストリーム(Native Extreme)も114の高評価。8月にはアヴェロワイヤル(Ave Royale)が重賞を制し、ガリコヴィクやネイティブエクストリームを破って新勢力として台頭した。
ウルグアイではブラジルやアルゼンチン産馬を積極的に導入し、マローニャス競馬場のダート中長距離で鍛える形が機能している。頭数以上に「南米国際戦で通用する馬を送り出す国」という評価が適切だろう。
ペルー――ベルモントコレクションが急上昇
ペルーではベルモントコレクション(Belmont Collection)が現在最も注目すべき存在だ。2026年に入って連勝を重ね、6月末の1600m重賞を勝利して地域レーティング116を獲得。8月のバタージャ・デ・フニンでも楽勝し、国内では一段上の存在になりつつある。
中長距離ではカリムフォーエバー(Karim Forever)が6月のジョッキークラブ・デル・ペルー大賞を制覇。前年ペルーダービー馬カマル(Khamal)やマジックパワー(Magic Power)などもおり、国内のダート中長距離路線そのものは充実している。
ただし地元開催だった今年のラティーノアメリカーノではペルー勢が上位を占められなかった。国内トップとチリ・アルゼンチン・ブラジル・ウルグアイのトップとの間には、まだ多少の差があると見るべきだろう。
ベネズエラ――南米というより独自のカリブ海ダート圏
ベネズエラは他の主要国とはやや立ち位置が異なる。ラ・リンコナーダ競馬場を中心とするダート競馬が主体で、アルゼンチンやブラジルなど南部の国々よりもカリブ海競馬圏との結び付きが強い。
古馬ではプレポジション(Preposition)が2400mのプレシデンテ・デ・ラ・レプブリカを圧勝し、国内ステイヤーの中心。3歳牡馬ではポンテヴェッキオ(Pontevecchio)が三冠初戦を大差勝ちした後、二冠目でビッグヴァルディ(Big Valdi)が逆転。牝馬ではマダムカリナ(Madame Karina)がクラシック路線で存在感を示している。
国際的なレーティングだけで他国と単純比較することは難しいものの、独立した大規模ダート競馬圏として現在も重要な存在だ。
その他の南米諸国は国際競走への接続が課題
コロンビア、エクアドル、パラグアイにも競馬統括組織やサラブレッド競走は存在するが、現在の南米国際グレード競走や地域上位レーティングに登場する馬は主要6か国と比べて限定的。ボリビア、ガイアナ、スリナムについても、同じ基準で勢力を比較できる国際的な競走体系は形成されていない。
したがって現在の南米競馬を考える場合、アルゼンチン、ブラジル、チリを「三大勢力」とし、ウルグアイとペルーが追走、ベネズエラが独自圏を形成していると見るのが分かりやすい。
現在の南米は「層のアルゼンチン・ブラジル、エースのチリ」
2026年8月時点の勢力図をまとめるなら、選手層ではアルゼンチンとブラジル、現役最強馬ではテアオを擁するチリが一歩リードという構図になる。ウルグアイはガリコヴィクのラティーノアメリカーノ2着で国際競争力を証明し、ペルーではベルモントコレクションという新たな大物候補が台頭した。
特に注目したいのは、南米最強馬が必ずしもアルゼンチンやブラジルから現れていないことだ。2026年はチリのテアオが国境を越えて南米王者となり、小国ウルグアイのガリコヴィクが2着。各国のトップ層の差は以前より小さくなっている。年末のカルロスペレグリーニ大賞をはじめとする大レースで各国の有力馬が再び交われば、2027年へ向けた南米競馬の新たな序列がさらに明確になりそうだ。
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