2026年のオーストラリア競馬は大きな世代交代の時期を迎えている。近年の中距離戦線を牽引したヴィアシスティーナ(Via Sistina)が引退し、ベラニポティナ、アンティノ、ウィズアウトアファイトなどもターフを去った。一方、8月22日のウィンクスSでは新世代の中心オータムグロー(Autumn Glow)が圧巻の走りを披露。サーデリアス、シーザアリバイ、アエリアナなども控え、2026/27シーズンは新しい勢力図が形成されつつある。8月24日時点の豪州競馬を路線別に整理したい。

現在のオーストラリア競馬・主要勢力

カテゴリー中心馬主な実績・特徴
1400~1600mオータムグロー(Autumn Glow)ウィンクスS、エプソムH、ジョージライダーS
1600~2000mサーデリアス(Sir Delius)クイーンエリザベスS、アンダーウッドS、ターンブルS
マイルシーザアリバイ(Sheza Alibi)ランドウィックギニー、ドンカスターH
2000~2400mアエリアナ(Aeliana)ランヴェットS、タンクレッドS
中距離牝馬トレジャーザモーメント(Treasurethe Moment)メムジーS、コックスプレート好走
短距離ジョリースター(Joliestar)T.J.スミスS、カンタベリーS
短距離~1400mジミースター(Jimmysstar)C.F.オーアS、キングスフォードスミスC2着
短距離ギガキック(Giga Kick)チャンピオンズスプリント、T.J.スミスS2着
長距離ハーフユアーズ(Half Yours)コーフィールドC、メルボルンC

現在の「顔」はオータムグロー

勢力図の中心に躍り出たのがオータムグローだ。2025/26シーズンはエプソムH、ヴェリーエレガントS、ジョージライダーSを制覇。デビューから11連勝で迎えたクイーンエリザベスSでは初の2000mで3着となったが、8月22日のウィンクスSではシーザアリバイを完封し、再び力の違いを示した。

2025/26シーズン終了時の豪州国内レーティングは121で、現役馬ではサーデリアスの122に次ぐ2位。それでも現在の勢いを含めれば「豪州競馬の看板馬」はオータムグローと考えていいだろう。

最大のポイントは適距離だ。1400~1600mでは圧倒的なパフォーマンスを見せる一方、2000mではサーデリアスに敗れている。今春もマイル路線を中心に進むのか、再びコックスプレート級の2000mへ挑戦するのかによって豪州中距離戦線全体の構図が変わる。

サーデリアスが2000m路線の最高峰

純粋な中距離能力ならサーデリアスが最上位だ。2025年春にアンダーウッドS、ターンブルSを連勝。2026年春のクイーンエリザベスSではオータムグローを退け、リンダーマンに2馬身以上の差をつけて快勝した。

国内レーティング122は豪州調教馬トップ。最大目標は10月のコックスプレートで、今年はムーニーバレー改修の影響からフレミントン芝2040mで行われる。長い直線を持つフレミントンは、持続力を武器とするサーデリアスにはむしろ好材料となる可能性がある。

ここにアエリアナが加わる。ランヴェットSと2400mのタンクレッドSを連勝した実績から距離の融通性は高く、今春はコックスプレートからメルボルンCまで視野に入る。2000m以上では「サーデリアス対アエリアナ」が豪州勢の基本構図になりそうだ。

オータムグロー最大のライバルはシーザアリバイ

マイル路線の急上昇株がシーザアリバイ。3歳時のランドウィックギニーを制した後、ドンカスターHでは古馬を相手に鮮烈な勝利を挙げた。8月のウィンクスSではオータムグローに敗れたものの2着を確保し、トップレベルでも能力が通用することを改めて証明した。

現時点ではオータムグローが一枚上だが、シーザアリバイはまだ伸びしろを残す4歳馬。キングチャールズIII世Sなど今後のマイルG1で再戦すれば、2026年春を代表するライバル関係へ発展する可能性がある。

古豪ではミスターブライトサイド(Mr Brightside)、プライドオブジェニ(Pride Of Jenni)、ファンガール(Fangirl)も現役。ただし3頭とも高齢となり、従来の主役から新世代を迎え撃つ立場へ変わりつつある。

スプリント路線は依然として層が厚い

短距離の中心はジョリースターだ。2026年はカンタベリーSからT.J.スミスSを連勝し、ロイヤルアスコットのクイーンエリザベス2世ジュビリーSでも勝ち馬アルメラク、サトノレーヴとほとんど差のない3着。世界レベルでも通用するスプリンターであることを証明した。すでに豪州へ帰国しており、秋の最大目標はジ・エベレストとなる。

ギガキックも2025年チャンピオンズスプリントを制し、今年のT.J.スミスSではジョリースターの2着。故障から完全復活した現在も能力は一線級だ。

1300~1400mではジミースターが強い。春はC.F.オーアSを制し、その後もオールエイジドS3着、キングスフォードスミスC2着。8月29日のメムジーSから秋を始動する予定で、スプリントとマイルの中間路線では依然として有力だ。

さらにオールエイジドSを古馬相手に逃げ切ったベイワクト(Beiwacht)、ストラドブロークH覇者スパイシーマティーニ(Spicy Martini)も台頭しており、短距離だけは世代交代後も極めて層が厚い。

長距離はハーフユアーズを中心に新勢力待ち

ステイヤーでは前年にコーフィールドCとメルボルンCを連勝したハーフユアーズが実績トップ。ただし2026年秋は中距離戦で4戦して勝利がなく、春に向けてどこまで状態を戻せるかが課題になる。

対抗するのがアエリアナ、サーデリアス、そして豪ダービー馬グリーンスペース(Green Spaces)。特にグリーンスペースはメルボルンCを大目標としており、古馬になって距離適性がさらに伸びれば新たなステイヤーの中心となる可能性がある。今年も欧州から多数の遠征候補がおり、メルボルンC路線については豪州勢だけで序列を考えることは難しい。

新3歳世代も有力馬が揃う

今シーズンから3歳となった世代では、ゴールデンスリッパーを制したゲストハウス(Guest House)がスピード部門の中心。ブルーダイヤモンドS勝ち馬でゴールデンスリッパー2着のストライサンド(Streisand)も高い能力を示している。

距離が延びて注目なのはシャンペンS勝ち馬ファイアボール(Fireball)と、イングリスサイアーズを制したカンピオーネディタリア(Campione D’Italia)。両馬とも1600mまで実績があり、春のコーフィールドギニーなどで世代の中距離王を争うことになりそうだ。

「ヴィアシスティーナ後」の主役争いが最大のテーマ

現在の豪州競馬をまとめると、総合的な勢いではオータムグロー、2000m以上ならサーデリアス、マイルの新勢力がシーザアリバイ、2400m級ではアエリアナ、短距離ではジョリースターを中心にギガキックとジミースターが続くという構図になる。

ヴィアシスティーナを筆頭にトップクラスの引退が相次いだため、昨季までに比べれば絶対的な王者は少ない。しかしその空白をオータムグローら若い馬が急速に埋め始めている。8月29日のメムジーSから本格化するメルボルン春開催、ジ・エベレスト、コックスプレート、コーフィールドC、メルボルンCまでの約2か月で、新世代の「豪州最強馬」が誰なのか、はっきりしてくることになりそうだ。

 

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