10月4日にフランス・パリロンシャン競馬場で行われる凱旋門賞(G1・芝2400m)の有力候補として浮上しているのが、アイルランドのジョセフ・オブライエン厩舎に所属する3歳牝馬サンダリングオンだ。6月の英オークスを3馬身3/4差で圧勝し、9月のブランドフォードSも快勝。2400mのG1を勝っている距離実績に加え、力の要る馬場を得意としており、条件がそろえば欧州最高峰でも面白い存在となる。

フランケル産駒の良血牝馬

サンダリングオンは2023年1月17日生まれ。父は世界的名馬フランケル、母はG1プリティポリーSを制したサンダリングナイツ、母父はナイトオブサンダーという血統だ。

母サンダリングナイツはサンダリングオンを産んだ後に亡くなっており、サンダリングオンは母が残した唯一の産駒。オーナーブリーダーであるシャプール・ミストリー氏にとっても特別な存在となっている。

2歳時はカラ競馬場で2戦し、デビュー戦4着、G3スタッフォーズタウンスタッドS2着。勝利こそなかったものの重賞で好走し、素質の高さを示していた。

4戦目のG3で初勝利、そのまま英オークス制覇

3歳初戦となった4月のレパーズタウン未勝利戦では、短アタマ差の2着。そのわずか約2週間後、ナヴァンのG3サルサビルSへ格上挑戦すると、一気に素質が開花した。

直線では進路を探しながら余裕十分に抜け出し、後続に3馬身1/4差をつけて初勝利。未勝利馬の立場から一気に重賞ウイナーとなり、陣営は英オークスへの挑戦を決めた。

6月5日の英オークスはエプソム芝2400m、馬場は稍重に近いグッドトゥソフト。サンダリングオンは道中で脚をためると、直線でレガシーリンクを楽に交わし、最後は3馬身3/4差の完勝を飾った。

さらに3着シュガーアイランドには約10馬身差。起伏が激しくスタミナを要求されるエプソムの2400mを余裕を持って走り切ったことで、距離適性への疑問を一気に払拭した。

プリティポリーS敗戦後は休養へ

英オークスからわずか3週間後、古馬と初対戦となったG1プリティポリーSへ出走。距離は2000mへ短縮され、馬場も高速化した。

1番人気に支持されたものの、結果はエストレンジの4着。勝ち馬との差は2馬身半程度だったが、英オークスほどの切れ味は見られなかった。

陣営は2400mから2000mへの距離短縮と速い馬場が理想的ではなかったと分析。その後予定されていた愛オークスは体調面から出走を取り消し、夏場を休養に充てた。

この休養が結果的に大きなプラスとなる。

前走ブランドフォードSを快勝

復帰戦となった9月13日のG2ブランドフォードSではライアン・ムーアが騎乗。2000m戦ながら後方でじっくり脚をため、直線では手応え十分に進出。残り1ハロン付近で先頭へ立つと、リルトに1馬身半差をつけて快勝した。

オブライエン師も内容を高く評価し、レース後には凱旋門賞について具体的に言及。「2400mをこなせることは分かっているし、少し水分を含んだ馬場を好む」と話している。

英オークス以来約3カ月ぶりの勝利で、凱旋門賞へ向けて理想的な前哨戦を終えた形だ。

凱旋門賞で大きな武器となる2400m適性

サンダリングオン最大の強みは、すでに2400mの英オークスを圧勝していることだ。

今年の凱旋門賞候補には2000m前後を中心に使われている馬も少なくないが、サンダリングオンはエプソムの厳しい2400mを克服済み。単純なスタミナという点では大きな不安がない。

また馬場が軟らかくなることも歓迎材料。英オークスのグッドトゥソフトで非常に強い競馬を見せた一方、高速馬場のプリティポリーSではパフォーマンスを落としている。秋のロンシャンらしく適度に雨が降れば、能力を最大限発揮できる可能性が高まる。

一方でパリロンシャンは未経験。凱旋門賞では多頭数の馬群をさばく必要もあり、英オークスとは異なる器用さが要求される。この点は未知数となる。

3歳牝馬の斤量も魅力

凱旋門賞では3歳馬が古馬より軽い斤量で出走でき、牝馬にはさらに減量がある。サンダリングオンは3歳牝馬のため、古馬牡馬に対して大きな斤量差を得られる。

2400mのスタミナ勝負でこの差は無視できない。過去にもザルカヴァ、デインドリーム、トレヴ、エネイブルなど3歳牝馬が凱旋門賞を制しており、条件そのものは魅力的だ。

凱旋門賞での有力度は?

現時点の海外ブックメーカーではおおむね7~8倍前後で評価され、ダリズ、マルティーズクロスに続く上位人気グループに入っている。

G1勝ちは英オークスの1勝で、古馬一線級との実績という点ではダリズなどに及ばない。しかし、2400m実績、道悪適性、3歳牝馬の斤量、そして前走で見せた復調ぶりを考えれば、凱旋門賞で上位争いに加わるだけの条件はそろっている。

最大のポイントは当日の馬場。高速馬場になれば不安が増す一方、良馬場より少し軟らかくなれば評価は大きく上がる。

なお、9月24日時点でオブライエン師は凱旋門賞出走について「最終決定はまだ」としており、オペラ賞や英国チャンピオンズデーも選択肢として残されている。ただし陣営は凱旋門賞への適性についてかなり前向きな姿勢を示している。

英オークスで証明した2400m適性と、秋初戦を快勝した上昇度。正式に出走が決まれば、サンダリングオンは今年の凱旋門賞で特に注目すべき3歳牝馬の一頭となる。

凱旋門賞2026 有力度:★★★★★(最有力候補の一角)

 

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