2026年9月27日に中山競馬場で行われるスプリンターズステークス(G1、芝1200m)に、香港調教馬ファストネットワーク(Fast Network)が予備登録した。香港からの登録は同馬1頭。さらに9月6日のセントウルステークス(G2)への出走に向けて来日することも正式に決まっており、順調なら阪神で一度実戦を挟み、そのまま日本に滞在して中山のG1へ向かう予定だ。香港短距離界にはカーインライジングという絶対王者が君臨しているためG1タイトルこそないが、香港スプリント3着、センテナリースプリントカップ3着などトップカテゴリーで何度も好走している実力馬。日本勢にとっても無視できない存在になりそうだ。

ファストネットワークの基本プロフィール

項目内容
馬名Fast Network(ファストネットワーク)
生産国ニュージーランド
性齢せん6歳
調教師C.イプ(Dennis Yip Chor-hong/香港)
馬主Ng Hung Yau
Wrote
Alberta
母父Magic Albert
通算成績20戦7勝・2着1回・3着4回
主な勝利2025年ナショナルデーカップ(G3・芝1000m)
主なG1実績2025年香港スプリント3着、2026年センテナリースプリントカップ3着

ニュージーランド生まれで、2022年のカラカセールBook 2ではわずか3万NZドルで取引された。香港ではデビューから着実にクラスを上げ、現在の獲得賞金は約1983万香港ドル。高額馬ではなかった一頭が、香港スプリント路線の上位まで駆け上がった形だ。

マイル路線から短距離へ転じて一気に本格化

ファストネットワークの経歴で興味深いのは、当初から完全なスプリンターとして扱われていたわけではないことだ。2025年1月には香港4歳三冠の初戦・香港クラシックマイルに出走して4着。1600mでも上位と差のない競馬を見せたが、その後は陣営が1200mを中心とする短距離路線へシフトした。

これが大きな転機となった。2025年3月にはシャティン芝1200mのクラス3を勝つと、同月末にはクラス2を4馬身差で圧勝。秋初戦の1400mこそ4着だったが、10月のナショナルデーカップでは芝1000mを55秒64で差し切り、重賞初制覇を果たした。

距離別成績を見ると、シャティン芝1000mが6戦4勝、1200mが10戦3勝・2着1回・3着2回。1400m以上でも走れないわけではないが、実績が1000~1200mに明確に集中している。マイルまでこなす底力を持ちながら、最大の武器はスプリント戦で発揮される末脚と考えるのが自然だろう。

カーインライジング相手にG1で連続好走

一気に評価を高めたのが2025年秋から2026年初頭だ。11月のジョッキークラブスプリントでは世界最強スプリンターのカーインライジングに続く2着。続く12月の香港スプリントでは好位から運んで3着に入り、G1でも通用することを証明した。

2026年1月のセンテナリースプリントカップでもカーインライジング、ヘリオスエクスプレスに続く3着。カーインライジングには3馬身1/4差をつけられたものの、香港トップクラスの中で安定して上位へ入っている点は高く評価できる。

3月には135ポンドのトップハンデを背負ったクラス1の1200m戦を、中団から差し切って1馬身1/4差で勝利。4月には1600mのチェアマンズトロフィーで5着を経て、チェアマンズスプリントプライズに出走した。このG1ではカーインライジングが優勝、日本のサトノレーヴが2着、ファストネットワークは4着。勝ち馬からは5馬身3/4離されたものの、世界最高峰のメンバーで大崩れはしていない。

最大の武器は「差せるスプリント能力」

脚質は純粋な逃げ・先行型ではない。C.イプ調教師自身も「序盤で無理をさせず、リラックスさせて最後の300mを伸ばす」タイプとして評価しており、実際にナショナルデーカップでは8頭立ての後方から一気に差し切った。2026年3月の1200m戦でも6番手から直線で抜け出している。

一方、香港スプリントでは4番手から2番手へ進出して3着と、好位からでも競馬ができる。展開次第で位置を取れる自在性は日本遠征でも大きな武器になるだろう。短距離戦でありながら、前半から無理に飛ばさず最後までスピードを維持できる点がこの馬の特徴だ。

中山1200mへの適性は?

スプリンターズSが行われる中山芝1200mは、スタート後に下りながら一気に加速し、最後は短い直線と急坂を迎える。香港とは違い、後方に構えすぎれば差し届かない可能性があるため、ファストネットワークにとって最大の課題は序盤のポジションになりそうだ。

ただし、シャティンも右回りで、速い時計が出る芝への対応力は十分。1000m重賞を55秒64で勝っているだけに、日本の高速スプリントについていく基礎スピードもある。香港スプリントでは前めの位置で競馬ができており、枠順とスタートが噛み合えば中山でも好位~中団に収まることは可能だろう。

気になるのは海外遠征が初めてとなる点と、実戦が4月以来になる点。ただし今回は9月6日のセントウルSを使うため、いきなりG1へ直行するわけではない。JRAによれば8月25日に関西国際空港へ到着し、三木ホースランドパークへ移動する予定。セントウルS後も日本に滞在できる見込みで、約1か月をかけて環境へ順応できるローテーションはプラスだ。

セントウルSの内容が最大の判断材料

現時点ではスプリンターズSへの「予備登録」であり、本番出走が最終確定したわけではない。それでも陣営は春から日本遠征を検討し、セントウルS→スプリンターズSという2戦のプランを進めてきた。セントウルSでは日本で実績豊富なD.レーンが騎乗する可能性も現地で報じられている。

評価としては、カーインライジング級の絶対的存在ではないものの、香港G1で繰り返し3着争い以上に加わってきた本物の国際級スプリンターと見るべきだろう。2026年の日本短距離戦線でどの位置に入るのかを測るうえでも、まずはセントウルSが重要な試金石になる。そこで日本の速い流れと阪神の芝を問題なくこなし、得意の末脚を見せるようなら、スプリンターズSでは単なる外国馬という扱いではなく、優勝候補の一角として警戒する必要がありそうだ。

 

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