絶体絶命の場面で作戦を成功させる。勝負を決めるカードが手札にそろう。漫画やアニメを見ていると、「それって、どれくらい珍しいことなの?」と気になる瞬間がありますよね。

今回は、『新世紀エヴァンゲリオン』『遊☆戯☆王』『葬送のフリーレン』に登場する数字や設定に注目。4096分の1をものさしにして、物語の中の“奇跡”を数字で眺めてみました。

作戦の勝率、カードがそろう確率、登場人物が気にするわずかな可能性。同じ「珍しい」でも、並べてみると意外な違いが見えてきます。

※作品の一部内容に触れます。作中で示される数値と、条件を仮定して計算した数値を区別して紹介しています。

まず、4096分の1はどれくらいの確率?

4096分の1をパーセントに直すと、約0.0244%です。

1 ÷ 4096 × 100 = 0.0244140625%

数字だけでは、なかなか実感しにくいかもしれません。そこで、コイン投げに置き換えてみましょう。

表と裏がそれぞれ2分の1の確率で出て、1回ごとの結果が互いに影響しないコインを考えます。このコインを12回投げて、すべて表になる確率が、ちょうど4096分の1です。

2回とも表なら4分の1、4回すべて表なら16分の1、8回すべて表なら256分の1。そして、12回すべて表で4096分の1になります。

1回の表は身近でも、それが12回続くとなると印象が変わりますね。この「12回すべて表」を思い浮かべながら、作品の数字を見ていきましょう。

『新世紀エヴァンゲリオン』「奇跡の価値は」の勝率は0.00001%

最初は、エピソードの題名からして今回のテーマにぴったりな『新世紀エヴァンゲリオン』です。

テレビシリーズ第12話「奇跡の価値は」では、落下してくる使徒への対処として、ミサトが作戦を提案します。公式作品紹介に記載された、その作戦の勝率は0.00001%です。eva-info.jp

これを「何分の1」に直すと、1000万分の1。4096分の1の分母が「4096」なのに対し、こちらは「1000万」。分母の大きさは約2441倍になります。

小数点以下に並ぶゼロを見ているだけでも、その作戦の厳しさが伝わってきます。「成功の見込みがほとんどない」と説明される以上に、具体的な数字を示されることで、登場人物たちが向き合う状況を想像しやすくなるのではないでしょうか。

ただし、これは物語の中で示される作戦の見積もりです。コイン投げのように、同じ条件で何度も繰り返して確かめられる確率とは性質が異なります。ここでは、その数字の小ささを比較して楽しんでみましょう。

『遊☆戯☆王』エクゾディアが最初の5枚でそろうとしたら?

次は、『遊☆戯☆王』のエクゾディアです。「封印されしエクゾディア」と左右の腕・脚にあたる計5種類のカードを手札にそろえると勝利するという条件は、公式カードデータベースでも確認できます。遊戯王ニューロン(オフィシャルカードゲーム カードデータベース)

それでは、最初に引く5枚で必要なカードがすべてそろうとしたら、どれくらいの確率なのでしょうか。今回は、次の条件を置いて計算します。

  • デッキは40枚。
  • 必要な5種類のカードは、それぞれ1枚ずつ入っている。
  • すべての並び順が同じ確率になるように混ぜ、最初に5枚を引く。
  • カードの効果による追加のドローなどは考えない。

40枚から5枚を取り出す組み合わせは、引く順番を区別しなければ65万8008通り。その中で必要な5枚がそろう組み合わせは、1通りだけです。

最初の5枚でそろう確率 = 65万8008分の1
パーセントでは、約0.000152%

4096分の1と比べると、分母は約160.6倍。必要なカードを1枚引くだけでもうれしい場面で、5種類すべてが最初からそろうというのは、ずいぶん特別な展開ですね。

ここで大切なのは、この数字は編集部が条件を設定して計算したもので、アニメの特定の対戦シーンに示された公式の確率ではないこと。途中で何枚も引いたり、カードの効果を使ったりする場合は、計算の条件が変わります。

「エクゾディアがそろう確率」と一言でいっても、どんなデッキで、いつまでにそろえるのかによって答えは違う。そんな数字の面白さも感じられる例です。

『葬送のフリーレン』99%の判別精度と、気になる残り1%

『葬送のフリーレン』には、宝箱に化けた魔物「ミミック」が登場します。魔法や魔導書に強い興味を持つフリーレンが、宝箱を前にすると好奇心を抑えられなくなる場面です。

アニメ第23話「迷宮攻略」では、フェルンが魔法で箱をミミックだと判別しても、フリーレンはその魔法の精度が99%であることに言及します。アニメフリークス

今回は、ここから意識される「残り1%」という数字に注目してみましょう。公式コラボイベントの案内でも、この「残り1%」に触れられています。realdgame.jp

1%は100分の1。4096分の1の約0.0244%と比べると、数値は40.96倍です。

「たった1%」と聞くと、とても小さく感じます。それでも、4096分の1よりは大きい数字なのですね。確率の印象は、何と並べるかによっても変わります。

なお、判別魔法の精度が99%という情報だけで、目の前の箱が本物の宝箱である確率まで分かるわけではありません。ここでは「残り1%」という数値を比較しており、宝箱の割合や魔導書の入手率を示したものではありません。

数字そのものに加えて、わずかな可能性が気になってしまうフリーレンの好奇心も、この場面の見どころ。大きな作戦の成否とは違う、ちょっと親しみやすい「もしも」が描かれています。

一覧で比較すると、“奇跡”にも幅がある

紹介した数字を同じ単位にそろえると、次のようになります。

比較する内容何分の1?パーセント
フリーレンの判別魔法をめぐる「残り1%」100分の11%
比較の基準/コイン12回がすべて表4096分の1約0.0244%
エクゾディアが最初の5枚でそろう計算例65万8008分の1約0.000152%
エヴァ第12話の作戦勝率1000万分の10.00001%

※各数値の前提は本文のとおりです。作中の表現・見積もりと、条件を設定した計算を並べたもので、同じ仕組みで起こる出来事を比較したものではありません。

同じ「わずかな可能性」でも、100分の1から1000万分の1まで大きな開きがあります。ただ、数字が小さいほど場面の感動も大きい、と単純に決まるわけではありません。

登場人物が何を望み、どんな準備をして、何を守ろうとしているのか。そうした背景と重なることで、数字に物語の重みが加わります。確率を知ってから見返すと、印象に残った場面を少し違う角度から楽しめそうです。

「4096回で必ず1回」ではないことも覚えておこう

確率を読むときに気をつけたいのが、「4096分の1なら、4096回試せば必ず1回起こる」という意味ではないことです。

例えば、先ほどの「コインを12回投げ、すべて表かを確かめる」という実験。毎回独立した条件でやり直すなら、以前の実験で失敗が続いたことだけで、次の成功確率が上がるわけではありません。

物語では「ここで成功してほしい!」と応援したくなるもの。作品への思い入れと、確率の仕組みを分けて考えると、数字にも物語にも、それぞれの面白さが見つかります。

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