10月4日にフランス・パリロンシャン競馬場で行われる凱旋門賞(G1・芝2400m)の有力候補として注目されているのが、アイルランドのエイダン・オブライエン厩舎に所属する3歳牝馬ダイヤモンドネックレスだ。2歳時からクラシック戦線までほぼ完璧な戦績を残し、ここまでG1・4勝。前走で初黒星を喫したものの、能力そのものは欧州牝馬の最上位クラスに位置している。ただし、凱旋門賞への出走は現時点で最終決定されておらず、同日に行われるオペラ賞も選択肢として残されている。

7戦6勝、G1・4勝の超良血牝馬

ダイヤモンドネックレスは2023年生まれの牝馬。父はシユーニ産駒で現役時代にフランス2000ギニー、ジョッケクルブ賞、エクリプスSなどを制したセントマークスバシリカ、母はプルーデンツィア。2024年のアルカナ・オーガスト・イヤリングセールでは170万ユーロという高額で取引された。

デビューは2025年8月のカラ競馬場。初戦を勝利すると、レパーズタウンのリステッド競走も制し、3戦目でいきなりフランスのG1マルセルブサック賞へ挑戦。ここも勝利して無敗のまま2歳シーズンを終えた。

3歳初戦となった2026年のフランス1000ギニー(プールデッセデプーリッシュ)では、パリロンシャンの1600mを危なげなく突破。続く仏オークスにあたるディアヌ賞では距離を2100mまで延ばし、ピンクパンサーとの激戦を短アタマ差で制した。マルセルブサック賞、フランス1000ギニー、ディアヌ賞をすべて制したのは、アレフランス、ディヴァインプロポーションズ、ザルカヴァ、ブルーローズセンに続く史上5頭目という快挙だった。

さらに7月のナッソーSでは初めて古馬と対戦。フレンドリーソウルらを相手に約2馬身3/4差をつけ、無傷の6連勝で4つ目のG1タイトルを獲得した。

前走で初黒星も、敗れた相手はアヴェンチュール

初黒星となったのが8月23日のジャンロマネ賞だった。単勝2/9という圧倒的人気を集めたものの、直線で伸び切れずアヴェンチュールから2馬身差の2着。デビューから続いていた連勝は「6」で止まった。

ただし、勝ったアヴェンチュールは2024年凱旋門賞2着、ヴェルメイユ賞勝ちなどの実績を持つトップクラスの古馬牝馬。相手の能力を考えれば、初黒星だけで評価を大きく下げる必要はない。

オブライエン師はその後、前走について「少し間隔を詰めすぎたかもしれない」と振り返り、重い馬場で最後に疲れた可能性にも言及している。また9月には厩舎全体に軽い感染症の影響があったことも明かされており、現在についてはダイヤモンドネックレス自身は「非常に良い状態」としている。ジャンロマネ賞の一戦だけで能力の限界が示されたとは考えにくい。

最大のポイントは初めての2400m

凱旋門賞へ向かう場合、最大の焦点となるのは距離だ。これまでの最長距離はディアヌ賞の2100mで、2400mは未経験。ナッソーS、ジャンロマネ賞も2000mであり、凱旋門賞ではさらに400m延びる。

一方、血統には距離をこなせる材料もある。母プルーデンツィアは優秀な繁殖牝馬で、半姉チキータは2400mの愛オークス勝ち馬。半姉マジックワンドも2400mのリブルスデイルSを制し、世界各国の中長距離G1で活躍した。父セントマークスバシリカは1600~2000mを主戦場としたが、母系には十分なスタミナがある。

オブライエン師もディアヌ賞後、ゴールまでストライドが小さくならなかったことなどから「2400mをこなせる可能性は高い」との見方を示していた。とはいえ、凱旋門賞の2400mは単純な距離延長とは違い、ロンシャン特有の起伏に加えて強豪古馬との持久力勝負になる。実戦で一度も2400mを経験していない点は明確な不確定要素だ。

パリロンシャンは2戦2勝

コース適性は大きなプラス材料だ。ダイヤモンドネックレスはパリロンシャンで2025年マルセルブサック賞、2026年フランス1000ギニーとG1を2勝。距離こそ1600mだが、初めてのコースに戸惑う心配は小さい。

馬場への対応範囲も広く、軟らかい馬場のフランス1000ギニーを圧勝する一方、速い馬場となったグッドウッドのナッソーSでも高いパフォーマンスを披露している。極端な馬場にならない限り、天候によって大幅に評価を変える必要はなさそうだ。

凱旋門賞での有力度は?

海外ブックメーカーでは9月下旬時点でおおむね10/1~14/1前後で推移しており、ダリズ、マルティーズクロス、サンダリングオン、カルパナなどに続く上位人気グループの一角となっている。

能力だけなら凱旋門賞を勝っても驚けない存在だ。G1を4勝し、3歳春にはクラシックを制覇、古馬相手のナッソーSも完勝。さらにロンシャンでG1を2勝している点も心強い。

一方で、2400m未経験という大きな課題があり、前走も初黒星。現段階では「凱旋門賞でも勝ち負けできる能力はあるが、距離適性が最後のハードル」という評価になる。

さらに陣営は2000mのオペラ賞も選択肢として残している。現時点でダイヤモンドネックレスが凱旋門賞へ向かうこと自体が確定しているわけではない。凱旋門賞は9月28日に第1回取消、30日に出走予定馬と騎手が発表される予定で、まずはオブライエン陣営の最終判断が注目される。

出走が決まれば、G1・4勝の3歳牝馬が初の2400mで欧州最高峰へ挑む非常に興味深い一戦になる。距離を克服できるか――。それがダイヤモンドネックレスの凱旋門賞制覇を占う最大のポイントとなりそうだ。

凱旋門賞2026 有力度:★★★★☆(最有力候補の一角)

 

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