競馬の「パートI国」とは?国際セリ名簿基準・ブラックタイプ・Jpn表記までわかりやすく解説

競馬の世界では、「パートI国」「パートII国」「ブラックタイプ」「国際G1」「JpnI」といった言葉が使われます。
これらは単なる肩書きではなく、競走馬の血統価値やセリ市場での評価に大きく関わる重要な制度です。
この記事では、国際セリ名簿基準書、通称「ブルーブック」における国別パート分類制度について整理します。
目次
Toggle国際セリ名簿基準書「ブルーブック」とは?
国際セリ名簿基準書とは、世界各国の競馬の格付けや競走水準を整理し、セリ名簿でどの競走実績をどのように表示するかを定めた国際的な基準です。
通称「ブルーブック」と呼ばれ、サラブレッドの競走成績や血統価値を国際的に比較するための重要なルールブックといえます。
競馬は国によって競走水準や制度が異なります。そのため、ある国の「G1」と別の国の「G1」が本当に同じ価値なのかを整理する必要があります。そこで使われるのが、国別のパート分類制度です。
パート分類制度とは?
パート分類制度とは、国や地域の競馬水準、格付け制度、国際開放度、競走の質などをもとに、競馬国を大きく3つに分ける制度です。
- パートI
- パートII
- パートIII
この分類によって、その国の重賞競走が国際的なセリ名簿上でどのように扱われるかが決まります。
特に重要なのが「ブラックタイプ」です。ブラックタイプとは、セリ名簿上で馬名が太字で表示される実績のことで、繁殖牝馬や産駒の評価に大きな影響を与えます。
パートI・パートII・パートIIIの違い
| 区分 | 概要 | セリ名簿上の扱い | イメージ |
|---|---|---|---|
| パートI | 国際的に高い競走水準と厳格な格付け管理を持つ国 | G1・G2・G3・Lが国際格付けとして認められる | 世界トップ水準の競馬国 |
| パートII | 一定の競走水準はあるが、パートIほどではない国 | 国内重賞であっても国際的には主にリステッド相当の扱い | 国際評価を高めている途中の国 |
| パートIII | パートI・IIの基準を満たしていない国 | 原則としてブラックタイプ資格は付与されない | 参考掲載に近い位置づけ |
パートI国とは?
パートI国は、国際的に最も高く評価される競馬国・地域です。
パートI国になると、その国で行われる重賞競走やリステッド競走が、国際的な格付けとしてセリ名簿上に表示されます。
たとえば、パートI国のG1競走で勝利した馬は、セリ名簿上でも国際G1勝ち馬として評価されます。これは繁殖価値や市場価値に直結する大きな意味を持ちます。
パートI国に求められる主な条件
- 国内に厳格なグレード管理制度があること
- 重賞競走が原則として国際的に開放されていること
- 一定数以上のG1・重賞競走を施行していること
- 競走の質が国際的に認められていること
- 競走格付けを管理するガバナンスが整っていること
簡単にいえば、パートI国とは「その国の重賞を世界基準で評価してよい」と認められた競馬国です。
パートII国とは?
パートII国は、競馬水準が一定以上にあるものの、パートIほどの国際的評価には達していない国です。
パートII国では、国内で「G1」と呼ばれる競走があったとしても、国際セリ名簿上ではそのままG1として扱われるわけではありません。
多くの場合、国際的にはリステッド競走に準じる扱いとなります。
つまり、国内での格付けと、国際市場での格付けが一致しない場合があるということです。
パートIII国とは?
パートIII国は、パートIやパートIIの基準を満たしていない国・地域です。
ブルーブックに情報として掲載されることはありますが、その国の国内重賞は、原則として国際的なブラックタイプ資格を得ることができません。
ただし、例外的に非常に高水準の国際開放競走がある場合には、個別に国際的な評価を受けることもあります。
ブラックタイプとは?
ブラックタイプとは、セリ名簿において、一定水準以上の競走で好走した馬名が太字で表示される仕組みです。
競走馬の血統表にブラックタイプが多いほど、その母系には実績馬が多いと判断され、セリ市場での評価が高まりやすくなります。
ブラックタイプの基本ルール
| 成績 | 表示方法 | 意味 |
|---|---|---|
| 対象競走の勝ち馬 | 大文字太字 | 勝者として特に高く評価される |
| 対象競走の2着・3着馬 | 小文字太字 | 入着実績として評価される |
セリ名簿では、同じ血統でもブラックタイプがあるかどうかで見た目の印象が大きく変わります。
そのため、生産者や馬主にとって、ブラックタイプ競走で好走することは非常に重要です。
なぜブラックタイプは重要なのか
ブラックタイプは、競走馬の市場価値を示す重要なサインです。
特に繁殖牝馬やその産駒のセリでは、近親にG1馬・重賞馬・リステッド好走馬がいるかどうかが重視されます。
血統表に太字の馬名が多いと、購買者は「この一族には能力を伝える力がある」と判断しやすくなります。
ブラックタイプが評価される理由
- 競走能力の裏付けになる
- 繁殖価値の評価につながる
- セリ名簿上で目立ちやすい
- 国際的な購買者にも伝わりやすい
- 産駒価格に影響する可能性がある
日本はいつパートI国になったのか
日本は2007年にパートI国へ昇格しました。
これは、日本競馬が国際的に高い水準へ到達したことを示す大きな転換点です。
日本は1984年に独自のグレード制を導入し、その後、国際開放競走を段階的に増やしていきました。
パートI国になるためには、重賞競走を外国調教馬にも開放する必要があります。そのため、日本では国際開放の整備が進められました。
JpnI・JpnII・JpnIIIとは?
日本競馬を理解するうえで重要なのが「Jpn」表記です。
日本がパートI国へ昇格した際、すべての国内重賞をすぐに国際開放できたわけではありませんでした。
特に地方競馬のダート重賞などでは、外国調教馬への完全開放が難しい競走もありました。
そこで、国際的なG表記とは区別するために作られたのが「JpnI」「JpnII」「JpnIII」という表記です。
G表記とJpn表記の違い
| 表記 | 意味 | 国際的な扱い |
|---|---|---|
| G1・G2・G3 | 国際的に承認されたグレード競走 | 国際格付けとして扱われる |
| JpnI・JpnII・JpnIII | 日本独自の格付け表記 | 国際G表記とは区別される |
つまり、Jpn表記は「日本国内では高い格付けを持つが、国際的なG表記とは別物」という位置づけです。
ただし、Jpn競走であっても日本競馬の体系上は非常に重要な競走であり、特にダート路線では大きな意味を持ちます。
日本競馬の国際化と東京大賞典
日本では、パートI国昇格後も重賞競走の国際化が進められました。
JRAの平地重賞は、2010年までに外国調教馬へ開放され、国際格付けへの移行が進みました。
地方競馬でも、2011年に東京大賞典が地方競馬として初めて国際G1に認定されました。
これは、日本のダート競馬が国際的な評価を受けるうえで非常に重要な出来事です。
香港・韓国・サウジアラビアなどの昇格例
パート分類は固定されたものではなく、国や地域の競馬水準が上がれば昇格することがあります。
近年では、香港、韓国、サウジアラビア、バーレーンなどが国際競馬の中で存在感を高めています。
| 国・地域 | 昇格年 | 主な動き |
|---|---|---|
| 日本 | 2007年 | パートIIからパートIへ昇格。重賞の国際開放を進める |
| 香港 | 2016年 | 主要重賞を国際開放し、パートIへ昇格 |
| 韓国 | 2016年 | パートIIIからパートIIへ昇格 |
| サウジアラビア | 2021年 | サウジカップの国際G1認定などを背景にパートIIへ昇格 |
| バーレーン | 2021年 | 国際重賞の評価向上によりパートIIへ昇格 |
パート分類はなぜセリ市場で重要なのか
セリ市場では、購買者が短時間で血統表を見て馬の価値を判断します。
そのとき、ブラックタイプがあるかどうか、どの国のどの格付け競走での実績かは非常に重要です。
同じ「G1勝ち」と書かれていても、それが国際的に認められたG1なのか、国内限定の格付けなのかで、評価は変わります。
そのため、パート分類は血統表の価値を国際的にそろえるための仕組みとして機能しています。
初心者向けにまとめると
- ブルーブックは、世界の競馬実績を整理する国際的な基準書
- 国や地域は、競馬水準に応じてパートI・II・IIIに分類される
- パートI国は、国際的に高く評価される競馬国
- ブラックタイプは、セリ名簿上で馬名が太字になる重要な実績
- 日本は2007年にパートI国へ昇格した
- Jpn表記は、日本独自の格付けであり、国際G表記とは区別される
上級者向けに見るポイント
上級者向けに見ると、パート分類制度は単なる国際ランキングではありません。
これは、セリ市場における血統価値の表示ルールであり、競走実績を国際的な共通言語に変換する仕組みです。
パートI国に昇格するには、単に強い馬がいるだけでは足りません。重賞の国際開放、格付け管理の透明性、レーティング水準、競走体系の整備など、制度全体の成熟が求められます。
また、パートII国やパートIII国で行われる競走であっても、特定の国際競走が非常に高い水準にある場合には、個別に国際格付けやブラックタイプ資格を得ることがあります。
つまり、パート分類は国単位の評価でありながら、個別競走の質も同時に見られる二層構造になっているのです。
ブラックタイプ制度の課題
ブラックタイプ制度には大きなメリットがありますが、課題もあります。
たとえば、同じG1やリステッド競走であっても、国や競走によって実際のレベルには差があります。
少頭数の競走で得たブラックタイプと、世界的な強豪が集まる競走で得たブラックタイプが、セリ名簿上では同じように太字で表示される場合もあります。
このため、今後は単に「太字かどうか」だけでなく、公式レーティングや出走メンバーの質なども含めて、より精密に評価する必要があると考えられています。
今後の展望
国際競馬は、伝統国だけでなく、新興国の存在感も強まっています。
特にサウジアラビアのように、巨額賞金によって世界の有力馬を集める国も出てきました。
これにより、国際格付けやパート分類の勢力図は今後も変化していく可能性があります。
一方で、格付けの信頼性を保つためには、賞金額だけでなく、実際の競走レベル、出走馬の質、レーティング、国際開放度などを総合的に判断することが不可欠です。
まとめ
国際セリ名簿基準におけるパート分類制度は、世界の競馬を共通の基準で評価するための重要な仕組みです。
パートI国は、国際的に高い競走水準と制度的な信頼性を持つ国として扱われます。日本も2007年にパートI国となり、世界競馬の主要国として認められるようになりました。
ブラックタイプは、セリ市場において血統価値を示す重要な記号です。しかし、その価値を正確に読み解くには、単に太字かどうかを見るだけでなく、どの国のどの格付け競走で得た実績なのかを理解する必要があります。
競馬を深く楽しむうえで、パート分類、ブラックタイプ、国際G表記、Jpn表記の違いを理解しておくことは、血統評価やセリ市場を見るうえで大きな武器になります。
免責事項
本記事は、提供資料および公開情報をもとに、国際セリ名簿基準、パート分類制度、ブラックタイプ制度について解説したものです。
制度内容や国際格付け、各国のパート分類は、今後の国際機関の判断や競走体系の変更によって変わる可能性があります。最新の正式情報については、IFHA、各国競馬統括機関、セリ会社などの公式発表をご確認ください。
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