9月6日、フランスのパリロンシャン競馬場でムーランドロンシャン賞(G1、芝1600メートル)が行われる。フランスギャロが9月3日に公表した出走予定馬は、ドリームライナー、ノータブルスピーチ、オペラバッロ、テンボブトニー、エルデナリ、グシュタード、追加登録のドーセット、ナイトタイムの8頭となった。4歳以上の4頭は58.5キロ、3歳の4頭は56キロで、世代間の2.5キロ差も勝負を左右する。

グシュタードが3歳勢の中心

実績面で主役を担うのはグシュタードだ。今年は英2000ギニーでボウエコーの2着に入った後、愛2000ギニーを3馬身差で快勝。セントジェームズパレスステークスとサセックスステークスでも再びボウエコーに屈したが、前者は接戦、後者も半馬身差まで迫り、世代最上位のマイラーであることを示した。好位で流れに乗り、早めに動いて長く脚を使えるため、直線だけの瞬発力勝負に限定されない点が強みだ。

最大の焦点は状態面にある。サセックスステークスで後肢に傷を負い、感染症のため強い抗生物質を使用してジャックルマロワ賞を回避した。そこから約5週間での復帰となるだけに、能力をそのまま発揮できるかは当日の気配まで確認したい。それでも3歳馬の56キロで出走でき、通常の出来に戻っていれば最も崩れにくい存在だろう。

ノータブルスピーチとオペラバッロのゴドルフィン勢

古馬の筆頭はノータブルスピーチ。英2000ギニー、サセックスステークス、ブリーダーズカップ・マイルなどを制し、前走シティオブヨークステークスでは初めての1400メートルにも対応してG1・6勝目を挙げた。やや力の要る馬場で普段より前に位置し、直線では3馬身近く抜け出した内容は強烈だった。今回は前走からわずか15日で再び1600メートルへ戻るが、末脚の破壊力と近況の確かさでは出走馬中でも最上位。前が流れれば一気に差し切る場面がある。

同厩のオペラバッロも単なる脇役ではない。通算11戦7勝で、今年はジェベルハッタとサンダウンマイルを連勝。その後もクイーンアンステークス、サセックスステークスで連続3着と、欧州最高水準のマイル戦で安定している。自ら前へ行って一定の速いラップを刻めるのが持ち味で、小頭数でも展開を支配できる。ノータブルスピーチとは脚質が異なり、前後から勝利を狙える強力な二頭出しだ。

地元フランス勢とクイーンアン賞馬

テンボブトニーは6月のクイーンアンステークスを制したG1馬。大波乱を演出した後もサセックスステークスとシティオブヨークステークスでともに4着に入り、一度限りの激走ではなかったことを証明している。先行力があり、オペラバッロを見ながら運べれば粘り込みが可能だ。

フランス勢で最も伸びしろが大きいのはエルデナリ。デビューから3連勝し、リステッドのサンパトリック賞も制した。前走メシドール賞は3着だったが、陣営は不運が重なり、本来なら勝てた内容だったと評価している。わずか4戦でG1へ上がるため経験差はあるものの、56キロと未知の成長力は魅力。朝の調教では目立たず、実戦で能力を見せるタイプだけに、前走の着順だけで評価を下げるべきではない。

ナイトタイムはパリロンシャンのポール・ド・ムサック賞を勝ち、続くジャンプラ賞で勝ち馬から半馬身とアタマ差の3着。フランス勢の中ではG1で通用する裏付けがあり、地元コースの経験も強みとなる。仏2000ギニーでは6着だったが、その後の内容から春より力をつけているのは明らかで、マイルへの再延長を克服すれば上位争いに加わる。

ドリームライナーと追加登録ドーセット

ドリームライナーは今年3月にサンクルーの1600メートル戦を勝利し、通算12戦5勝。前走ジャックルマロワ賞は7着だったが、これまでの勝利は重い馬場に集中しており、雨で時計を要する状態になれば評価を上げたい。良馬場の速い決着では、G1上位馬に対してもう一段の上積みが必要になる。

ドーセットは追加登録で出走予定に加わった。2歳時に30頭立てのゴフズ・ミリオンとG3キラヴーランステークスを連勝した一方、今年はサセックスステークス12着など結果が出ていない。近況と、同じエイダン・オブライエン厩舎のグシュタードがいる構成を考えると、先行して流れを作る役割も想定されるが、自身の巻き返しには大幅な良化が求められる。

展開予想と結論

パリロンシャンの1600メートルは右回りで、最後の直線は533メートル。直線に入る前の「フォルスストレート」で動きたくなる一方、仕掛けが早過ぎれば最後に脚が鈍る。今回はオペラバッロ、テンボブトニー、ドーセットが前へ行く可能性が高く、8頭立てでも極端なスローペースにはなりにくい。グシュタードは好位から先に抜け出し、ノータブルスピーチはそれを目標に末脚を伸ばす形になるだろう。

現時点では、実績、斤量、自在性を総合してグシュタードを本命候補とする。対抗は直近の完成度で勝るノータブルスピーチ、単穴は展開を握れるオペラバッロ。上昇力と斤量差を生かすエルデナリを穴候補に挙げたい。グシュタードの回復度、ノータブルスピーチの短い出走間隔、そして当日の馬場状態が、欧州秋のマイル王決定戦を解く三つの鍵となる。

 

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